むつざわだより

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キラリと光る名刀が並ぶ企画展

キラリと光る名刀が並ぶ企画展

こんにちは、未来ラボのかおりです。

現在、睦沢町歴史民俗資料館では名刀を展示する企画展が開催されています。
歴史にも刀にも疎いわたしにとって、刀といえば、思いつくのは時代劇でバッサバッサ人を斬っているシーン。もしやそういった歴史を持つ刀が並んでいるのかしら…?血の跡があったりして。そもそも刀に違いなんてあるの?
などと、ちょっと緊張しつつ、資料館へ行ってきました。

※ 普段は撮影禁止ですが、特別に許可をいただき、展示の様子を撮影しています。

* * *

第2次世界大戦後、GHQ(連合国軍総司令部)は、一般家庭にある刀剣類を武器とみなして接収しました。その後、大半が廃棄されたり米軍の将兵に戦利品として持ち帰られ、残ったものは東京国立博物館に眠っていました。
※ 赤羽の軍事施設に集められたため、通称「赤羽刀」とよばれています

それから50年もの時を経て、1999年にそのうちの17振り*が国から睦沢町歴史民俗資料館へ譲り渡され、さらに17年もの年月をかけて研磨して甦らせ、やっと今回の一堂展示に至ったそうです。
※ 刀の数え方は「振(ふ)り」です

今回展示されているのは、その17振りの赤羽刀と資料館所蔵の刀装具、そして篤志家所蔵の4振りの名刀。キラリと光る日本刀が並ぶ姿は、圧巻です。

南北朝から江戸時代に至る、太刀、刀、薙刀、脇差、槍などが並んでいます。
違いは長さくらいで、どれも一見変わらないように見えるのですが、お話を聞くとそれぞれに違いがありました。

例えば、太刀は馬上戦が主だった平安時代から室町時代に使われ、馬に乗りながら使いやすいように、刃渡りが長く反りが深いことが特徴です。

▲太刀(銘 定利)刃長83.9cm、反り3.1cm、鎌倉時代。

室町時代以降は徒戦(かちいくさ)が多くなったため、取り回ししやすいように刃渡りも短く反りも浅めになっていきます。

▲太刀(銘 定利)刃長83.9cm、反り3.1cm、鎌倉時代。

身につけ方にも違いがあります。
太刀は刃を下にして甲冑の外側にぶら下げるようにつけていました。=太刀を佩(は)く
対して、刀(打刀)は刃を上にして腰帯に差して携帯していました。=刀を差す
展示では、身につける方向のとおりに置いているので、置き方が逆になっている、というわけです。

さらに江戸時代になると戦は減り、刀を抜く機会も少なくなり、武器としての役割よりもステータスを表すものも多くなったともいわれています。
いい刀を携えていると格好がいい、といった風潮があったのかもしれませんね。
ちなみに、武士は打刀と脇差、大小の刀を差すこと、と定められていたそうです。

▲脇差(銘 清麿)刃長46.2cm、反り1.0cm、江戸時代後期。

こうして三振りを比べてみると、時代の変化によって戦い方が変わり、刀も変わっていったことがよく分かります。

また、刃文(刃の文様)の違いにも気がつきます。
直線的なもの、なめらかな曲線、雲のような文様など、これ以外にも様々な文様があるそうです。(クリックで拡大できます)


刀の模様というと刃文に目が行きがちですが、地肌といわれる部分が実はみどころだそうです。
鋼の地にうっすらと表れる木目のような模様が見えます。これが地肌。

▲刀(金象嵌 銘 兼氏)

その他のわかりやすいみどころといえば「茎(なかご) 」。
刀の柄(持ち手)に収められている部分です。
この部分は磨いていないため、経年による錆の状態をみることができます。
形状の違いで流派などもわかるそうです。
確かに鎌倉時代の太刀のほうが、銘の彫りの寂れ方に時代を感じます。

▲太刀(銘 定利)鎌倉時代

▲刀(金象嵌 銘 兼氏)室町時代

*

刀身のほかにも、「鍔(つば)」や「目貫(めぬき)」「笄(こうがい)」といった刀装具も展示されています。

鍔(つば)は柄と刀身との間に挟んで、柄を握る手を防護する部分。
真ん中には刀身を、左右の小さい穴には小柄(小さい刀)と笄(髪を整えるもの)を差して使っていたそうです。

▲素銅地鋤彫蜻蜓文撫角形鍔

ちなみに、この鍔に彫られているのはトンボ。
トンボは前にしか進まず退かないことから「不転退」の精神を表し、勝ち虫とよばれる縁起物であったため、武士に好まれたそうです。

* * *

刃こぼれしているものもあったので、冒頭の質問を投げかけてみました。
「人を斬った刀はあるのですか?」
名刀として展示されるもののほとんどは、美術品や家宝として大切に保管されてきたものだそうです。
だからこそ、何百年もの時間が経ってもよい状態で残っていたのでしょう。
とはいえ、真実は刀にしか分かりません。もしかしたら展示されているものの中には、実際に使われたものも含まれているのかも…などと勝手な妄想を膨らませるのも、ひとつの楽しみかもしれませんね。

日本刀は武器でもあり、刀鍛冶の技術のつまった美術品でもある、日本の大切な文化といえると思います。
写真ではなかなか実物のような迫力を伝えることができません。
またこうして間近で見る機会は少ないと思いますので、ぜひ会期中に足を運んでみてください。

そうそう、日本語には刀にまつわる言葉がたくさんあるんです。
きっと昔の人々にとって刀は身近な存在だったのでしょうね。

元の鞘に収まる
相槌をうつ
切羽つまる
抜き差しならぬ
反りが合わない
しのぎを削る
つば迫り合い
トンチンカン
付け焼刃
単刀直入
一刀両断
目貫き通り
研ぎ澄ます
身から出た錆
太刀打ち
きんつば

いくつ知っていましたか?
えーこれも?と思ったものもあったのではないでしょうか?
ぜひご自身で由来を調べてみてくださいね。

* * *

「再生する名刀の美 – GHQ接収刀剣 – 」の展示は5/28(日)まで。
開館は月曜日以外の9:00~16:30

お問い合わせ先:
睦沢町歴史民俗資料館:0475-44-0290

睦沢町立歴史民俗資料館には、町の歴史や文化を学べる貴重な有形民俗資料のほかに、県指定の有形文化財など古寺に伝わる仏教美術品を常設展示しています。

常設展示の仏教美術品については、前回ご紹介した「隠れた名品を見に、歴史民俗資料館へ!」をご覧ください。

kaori KOBAYASHI

kaori KOBAYASHI
職業:マーケティングストラテジスト(東京)/カフェ経営(睦沢)

東京都出身。睦沢町大谷木にある「里山カフェ&ゲストハウス sou」オーナー。週末は睦沢でカフェを営業しながら自然と寄り添う生活を、平日は東京でデジタルな仕事をこなす「二地域居住」を実践しています。