むつざわだより

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1200年の歴史に触れる鵜羽神社「十日祭」

1200年の歴史に触れる鵜羽神社「十日祭」

玉前神社へ神輿の渡御(とぎょ)
町指定の無形民俗文化財で1200年以上続く、鵜羽神社(睦沢町岩井)の「十日祭(とおかまち)」が小雨の降る中、平成27年9月10日に行われました。このお祭りは、はだか祭りとして有名な「千葉県無形民俗文化財・上総十二社祭り」の重要なお祭りの1つです。この日は、日頃の静かな様子とは違って立派な旗が掲げられ、大勢の人が神社に集まりました。

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鵜羽神社には、稲穂の神、穀物の神として信仰される鵜茅葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)が、父の彦火火出見命(ヒコホホデミノミコト/山幸彦)と、母の豊玉姫命(トヨタマビメノミコト/海神の娘で玉依姫の姉)が祭神として祀られています。

IMG_5009睦沢村史によると「古くは鵜羽山大明神と称した。『鵜羽大明神縁起』に、上総国一之庄祝郷は日本武尊の東征のみぎりにこの地を過り、諸軍は湧水で渇をしのいだ。その以後岩井と改め、帝御即位の時、高殿の御湯引の清水をこの地から奉ったと言う。大同元年(806)豊田庄の海辺で一顆の玉を得て漁屋に納めて尊崇する者があり、土人は玉依姫の神霊として右大臣百川に上申した。そのころ平城帝の御夢に釣ヶ岬の天孫降臨の故地に神霊を鎮め奉るようにとの御神託があったので、帝は上総介に命じて八神六社を祀らせた。神霊二座をまつって玉崎の社と名付け、別に岩井の郷にも二座を鎮め奉って鵜羽山と呼び、他に南宮・二之宮・三之宮・玉垣の四社を玉前六社とした。」と伝えられています。
また「祭礼の起源は、あるいは大同元年(806)または嘉祥三年(850)8月8日」とされ、この日は鵜茅葺不合命の御降誕の日に当ります。この8月8日が、現在9月8日に行われている「御漱(おみすり)祭」です。

鵜羽神社 十二社祭り 
この時から「古事記」や「日本書記」にある「海幸彦と山幸彦」、「豊玉姫の出産」などの神話が、伝えられるようになったのではないかと考えられます。神話では、鵜茅葺不合命は玉依姫(タマヨリビメノミコト)を妃として、五瀬命(イツセノミコト)、稲飯命(イナヒノミコト)、三毛沼命(ミケヌノミコト)、神日本磐余彦尊(カミヤマトイワレヒコノミコト)の四子をもうけたとされています。これらの神様が一同に会する祭礼が「上総十二社祭り」です。

IMG_5035その中の「十日祭」は、鵜茅葺不合命が、玉依姫命と結ばれるために玉前神社へ神輿が渡御(とぎょ)する行事。一宮町側では「鵜羽神社お迎え祭」と呼ばれています。
神社に奉納されている大きな絵から、神輿を先導するたくさんの馬に乗る人や多くの人が描かれ、盛大に執り行われていた様子が伝わってきます。(1974年・岡澤常夫作 迎年75歳の時「十日祭」の渡御行列を観覧しその光景を描いた作品)

IMG_5046 20年前にあたらしく塗装された木製の神輿本体は、室町時代のものと言われ、鳳凰も金属ではなく木で作られています。

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出発前のご祈祷。若衆頭による太鼓の合図で神輿が出発します。
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太鼓に見送られ一宮の玉前神社へ。平成27年の今年は、睦沢鳴子会による踊りと太鼓で神輿の出発を盛り上げました。

玉前神社の「鵜羽神社お迎え祭り」
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玉前神社に到着すると鵜羽神社お迎え祭りとして「上総神楽」が奉納されます。
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次に神輿を移動し、洗米を境内の庭に散じてお祓い。その後には「福餅まき」「神輿くぐり」と続きます。最後に社殿の中での大切な儀式の後、玉前神社を出発。八雲神社へ向かいます。
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八雲神社
IMG_5154この後、江戸時代の古文書の記載には、「一宮町東浪見の海岸にある釣ヶ崎の祓所へ御神幸し、祓所では馬上で丑寅の方角(東北の方角)に向けて白羽の矢2筋を放ち、御神酒と細長いお供餅を大小2つ供え」とあり、この2つの供え餅は「二柱の姫神を表す」とされています。
現在この祭礼は、上の原の八雲神社にて行なわれています。この大小2つの細長いお供餅は神様の化身の白蛇で、鵜羽神社に持ち帰って境内にある井戸に流すと、井戸の底でつながっている釣ヶ崎の海に帰ると伝えられています。

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1200年以上もの長い間このお祭りが続いてきたのことは、睦沢町、一宮町とこの近隣が、海の幸・山の幸に長い間恵まれてきた証ではないかと、今回の取材を通して強く感じました。

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むつざわたより:一宮へ神輿の出発「上総十二社祭り」
むつざわさんぽ:鵜羽神社

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(参考文献及び出典)
「睦沢村史」昭和52年発行
「睦沢町議会だより125〜130号・江戸時代の鵜羽神社の祭礼『十日祭』」歴史民俗資料館/久野一郎氏
「古事記・日本書記」監修/多田元 発行元/西東社

kazuko SUGITA

kazuko SUGITA
職業:プランナー/デザイナー/エディター

大阪府出身。食と住環境をデザインする会社、トランローグ・アソシエイツ(東京八丁堀)クリエイティブディレクター。睦沢町にあるサテライトオフィスと東京を行き来して、テレワークスタイルで仕事をしています。