むつざわライフ

このコーナーでは、むつざわで出会ったさまざまな人に
むつざわでの暮らしについて、インタビューします。

夫婦二人三脚でこだわりの農園
Vol.001

夫婦二人三脚でこだわりの農園

「無農薬のブルーベリーをスタートに、色々な果実を試しています。自家製米粉のお菓子も進化中です」

  • 山田浩士(やまだ ひろし)さん、圭子(けいこ)さん
  • お住まい:睦沢町北山田
  • 居住歴:生まれてからずっとむつざわ
  • お仕事:農園経営

*山田農園の果実を使ったジャムやアイス、米粉を使ったお菓子は、道の駅「つどいの郷」でも大人気の商品。その農園主の山田さんご夫婦は、睦沢町北山田地区でブルーベリー摘みの観光農園を2010年にオープン。その前年まで、ご主人は車の整備士、奥さんは事務の仕事とそれぞれが、地元の会社にお勤めでした。お二人が会社を辞めて、観光農園を始めたきっかけや人気の商品へのこだわりなどについて話を伺いました。

Q:ブルーベリーの観光農園を始められたきっかけを教えてください。

A:2004年にブルーベリーの苗木を植え始めました。ブルーベリーを植える前は、植林した杉が山一面に植わっていました。私が子どもの頃に両親が植えたものです。それ以前は雑木林で、当時は山ユリもいっぱい咲いていました。 広さは、だいたい見えている範囲で約1町歩(いっちょうぶ)3000坪くらいです。ブルーベリーが植わっているのが、その5~6割くらいです。会社勤めしながらも米づくりは続けていました。いわゆる兼業農家です。米は2町5反を作っています。仕事も忙しくなって、ブルーベリーの世話もあると休みも取れないもんだから、いっそう辞めてしまおうということで、2009年の55歳の時です。観光農園をオープンしたのは、翌年の2010年。

最初からブルーベリーではなかったんです。この日当りの良い山に何か果樹を植えたいなと思って。いろんな種類をピックアップして、育てるのにどんな作業が必要か農業事務所に問い合わせたんです。そうしたら果樹は、虫や病気が多くて、薬で防除、防除、防除。防除ばっかりが必要なんです。でも私は薬を使うのが嫌でね、どうしたもんかなーと思ってたんです。
そんなある日、たまたま車の修理のお客さんの持っていた新聞の切り抜きに、ブルーベリーのことが載ってたんですよ。そこに木更津にあるフルーツランドが紹介されていて。そのとき「これなら無農薬でもやれるかも!」と思いました。それが出会いで、その後すぐに木更津まで行きました。そこのご主人に品種選びや、どうやって育てるかまで相談して、すぐに苗の注文までしちゃった。その後も何回も出掛けては、相談にのってもらいました。品種は、観光農園をするなら夏に実がなるラビットアイ系がいいだろうということでした。ハイブッシュ系は、梅雨と重なるのでね。
睦沢でブルーベリーを栽培してる人は、ハイブッシュ系が多いけれど、観光農園をメインにしてるのはウチだけですね。それに、ラビットアイ系のほうが味もしっかりしていて、私の好みなんです。

Q:千葉エコ農産物の認定も取得されてますね。農薬は全く使わないのですか?  肥料はどんなものを使われていますか?  土づくりで苦労された点などは?

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A:エコ認定は毎年更新で、県の担当者がチェックしに来ます。ブルーベリー は、薬を全く使っていません。ブルーベリーは、基本的には虫がつきにくい種類ですが、春先の芽吹いた頃は、葉っぱを食べる虫が、どうしてもついてしまいます。ですから、虫は全部手で取っています。今年はコガネムシの大発生がありましたが、ペットボトルいっぱいに、全部手でとりましたよ。放っとくと葉っぱも実も食べられてしまうので。夏に向かっては、毛虫も出てきます。農園を開園している夏の間は、お客さんがいらっしゃる前に、必ず農園を巡回して、毛虫を手で採って歩いています。

肥料は有機の油かすや骨粉を使っています。ブルーベリーは、酸性を好みますから。元々この山は粘土質で、表土以外は酸性なんです。だから、この場所にブルーベリーは、ピッタリなんですよ。ただ、ブルーベリーは、水はけの良い場所でないと育たない。でも粘土質の土地は、水はけが悪い。最初の年にはユンボで穴を堀って、そこへ苗を植えたんです。そうしたら苗は、夏を越せませんでした。堀って植えただけでは、水はけが悪すぎてだめだったんですね。 それで、仕方なく全部苗を抜いて引き上げて、ポットに戻しました。それで、杉の木を切り倒しただけだった畑から、切り株も根っこまで全部引き抜きました。そうしたら、丁度いいように水をはけることができたみたいです。でも、それだけでは十分ではないので、苗を植えた列ごとに、暗渠排水のパイプを通しています。
粘土質は、頻繁に水やりしなくても夏の水持ちが良いのも利点なんです。排水と水持ちの良さのバランスがポイントです。この暗渠排水があるから、水はけが上手くいっています。大雨が降っても大丈夫です。ブルーベリーは、水やりが大変だって言う人もいますけど、うちは水やりには苦労しないですね。

Q:果実のジャムや米粉のお菓子は奥さまが1人で作られているのですか?

A:加工品は、妻が担当しています。ブルーベリー以外に甘夏も、無農薬で栽培してジャムにしています。シフォンケーキ、シュークリーム、チーズケーキなども自家製の米から製粉した、米粉を使っています。以前から米粉に興味があって、ここを始める前には東京の「米粉ケーキ調理コース」に通って勉強しました。よそで食べたお菓子を自分でアレンジしています。シフォンケーキには、自家製の味噌を加えたりして。最近オススメのお菓子は「米粉のスノーボール」です。

商品は、夏の開園している時期だけ農園の「ラビットハウス」で販売しています。それ以外の時期は、道の駅「つどいの郷」で、年間を通して販売しています。電話で注文してもらえば、取り置きもします。自家製の米も「ちばエコ農産物」の指定を受けていて低農薬で栽培しています。米粉は、要望があれば販売もします。

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(米粉を使った、ふわふわのシフォンケーキ、サクッと軽いスノーボウルと素材の味を生かしたブルーベリー、ウメ、夏ミカンのジャム)

Q:一番嬉しかったこと、苦労されたことは?

A:嬉しかったのは、一番最初に実がなった時ですね。苗を植えて3年間は、木を育てるために実をつけさせないように摘果します。だから、4年目に大きな実ができた時は、嬉しかったですね。ブルーベリーは、苗を植えた年の夏を越せば、上手く育ってくれます。
一番大変だったのは、ユンボを使って苗を植えた列ごとに、排水のための暗渠のパイプを通したことですかね。斜面だからすごく大変だった。それを全部ひとりでやったので。
それから、虫だけでなくて、畑を荒らす小動物もいるので、農園のあちこちに仕掛けをしてあります。今年はハクビシン9頭、アライグマ3頭をすでに捕獲しました。
あと苦労するのは、お客さんに来てもらうことですね。

Q:これから力を入れていきたいことは?

A:ブルーベリー以外の他の果樹を植えたいと思っていて、無農薬でできるものを探しています。今も、クルミやポポー、アケビ、イネ科のマコモダケなんかも植えていて、これからも色々なものを試してみようと思っています。

Q:イベントの予定はありますか?

A:お客さま感謝デーとして、8月の最終の土日は、入園料無料で、持ち帰りを 通常の半額の100g150円(大人・小人)で提供します。毎年1キロ以上持ち帰る方もいっぱいいますよ。

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むつざわさんぽ:山田農園

インタビューを終えて

初めておじゃました農園の山の上から見渡す景色は、この辺りを見慣れた私にも新鮮で、とても見晴らしの良い素敵な場所でした。ブルーベリーを摘むだけ でなく、夏の1日をのんびりと過ごすにもおすすめです。ご主人の楽しいお話と、奥様の手づくりお菓子を味わいに、むつざわをたずねてみてはいかがですか。

取材・写真:kazuko SUGITA