むつざわライフ

このコーナーでは、むつざわで出会ったさまざまな人に
むつざわでの暮らしについて、インタビューします。

ふるさとの絆を子ども達につなぐため
Vol.004

ふるさとの絆を子ども達につなぐため

「こどもたちのルーツというかアイデンティティーの1つになってくれるといいなと思っています」

  • 「睦沢のむかしばなし」メンバー:久我秀子さん(会長)、宮崎叔子さん(副会長)、村杉廣子さん、斉藤廣子さん、朝比奈時子さん、高地光子さん、山崎重子さん
  • お住まい:睦沢町

*睦沢町に昔から伝わる伝説と民話を本にまとめ、紙芝居にして上演活動をしている「睦沢のむかしばなしの会」。今年度「睦沢のむかしばなし 第一集」を発行。10月18日に公民館で行われた活動報告会では、これまでの活動で完成した9話を紙芝居で披露しました。上演では、メンバーが民芸調の衣装で登場。手描きの絵に合わせて、素朴な方言で語る様子は、とてもほのぼのとしています。
会長はじめ、メンバーの皆さんに、会の活動について伺いました。

Q:会が発足することになった、きっかけについて教えてください。

睦沢のむかしばなしA:はじめは「睦沢町歴史民俗資料館友の会」での活動から派生する形で、始まりました。グループは「友の会」の会員でもあります。「友の会」では、町の歴史の発掘や文化財の保存に協力する調査・研究をしています。その活動の中で、「睦沢町の民話を復活してほしい」という声があがりました。これまで、30年ほど前に教育委員会でまとめた「睦沢の伝説と民話」という本があったのですが、字や本の装丁が小さく、絵も白黒だったので、それをリメイクして出してみたらどうかという話になりました。そこで、それぞれの地域に伝わる民話をお年寄りから丹念に聞き取りを進め、現地にも調査に行き、10話をまとめたんです。

睦沢のむかしばなしそれを本にしたいと思ったのですが、費用の捻出をどうしようかとなった時に、ちょうど「地域活性化住民提案事業」の話を聞いて、さっそくエントリーすることになりました。その際に「本を出すだけでは応援できないから、何か活動をして欲しい」と。それじゃあということで「本づくり」と「紙芝居の上演や読み聞かせ」という形になりました。
絵はメンバーや友人に描いてもらっています。絵を入れている立派な枠は、メンバーの旦那さんが作ってくれたりと、たくさんの皆さんに協力してもらって続けています。

Q:紙芝居はどのような場所で上演されていますか。

A:千葉県内のいろんなイベントや老人施設、各区民センターなどの集まりに呼ばれたりしています。当初はこども達のために、と思って始めましたが、老人施設などで紙芝居をすると「あー良かった、こどもの頃を思い出した」と、お年寄りにとても喜ばれています。きっと、むかしを思い出すと脳も活性化するんですよね。
紙芝居を始める前には、プロの方に来ていただいて、声の出し方なども指導してもらったんですよ。
睦沢のむかしばなし
(千葉県立中央博物館で開催された「ちばの妖怪祭~もののけ調査隊発表会」での紙芝居上演の様子)

Q:この活動で一番伝えたいことは何ですか。

A:今の子どもって地域のことをあまり知らないと思うんですね。だから、この本や紙芝居を通して、睦沢町に生活していた人々の考え方、生き方を知って、ふるさとを愛するこどもたちに育って欲しいんです。ふるさととの絆やつながりを感じて欲しい。自分が生まれ育った町が、ずーっと縄文時代の頃から繋がっていて、ルーツというかアイデンティティーの1つになってくれるといいなと思っています。

睦沢のむかしばなし今の時代ここで生まれても、ここへ戻ってくるのって難しいでしょうけど、睦沢町から離れても、民話を記憶することで、この町とつながって、それを持って生きていって欲しいなと思っています。民話の中に、自分が住んでいる地区の場所の固有名詞が出てくるからこそ、それを感じてもらえるのではないかと思っています。その意味でも、睦沢町の12地区全てを網羅して、地区ごとに最低1つは、お話をまとめていくつもりです。

Q:聞き取りや現地調査をする中で感じた、睦沢町の魅力って何でしょうか?

A:伝わっているお話は、町の営みと関係の深い、田んぼのための「堰(せき)」の話や馬の守り神「馬頭観音」の話、それとキツネに何度もだまされるといった、とても素朴なものが多いのも魅力だと思います。それに睦沢町には、縄文の時代から続く歴史の跡を、あちらこちらに見つけることができます。1200年も続く岩井の鵜羽神社の祭りもそうですが、延々と続いてきた足跡を見ることができるというのも、大きな魅力だと思います。それを途切れさせることなく伝えていきたいですね。

睦沢のむかしばなし
紙芝居にまとめられたお話
1・片端梅の伝説(上之郷)
2・そがどんの田植え(大上)
3・いぼ八幡の砂(川島)
4・夫婦堰のいわれ(寺崎)
5・日之子坂(上之郷)
6・狐に化かされた話(大上)
7・大塚山の馬頭観音(佐貫)
8・鵜羽神様と榊の伝説(岩井)
9・村を守った仁王さま(長楽寺)

(「睦沢のむかしばなし 第一集」では1〜6話を収録)

インタビューを終えて

メンバーのみなさんがまとめたお話は、地元の普段の話し言葉で綴られていて、内容だけでなく、方言をも伝える役割を果たしています。今回、発行された「睦沢のむかしばなし 第一集」は、小学校の各教室や中学校、公民館の図書室に配布されました。みなさんもぜひ一度ご覧ください。
本の購入希望や紙芝居の上演についてのお問い合わせは、会長の久我さん(0475-44-0122午後6時以降)まで。

取材・写真(「ちばの妖怪祭」の写真以外):kazuko SUGITA