むつざわライフ

このコーナーでは、むつざわで出会ったさまざまな人に
むつざわでの暮らしについて、インタビューします。

離れてみないと分からない贅沢
Vol.002

離れてみないと分からない贅沢

「子供の頃に味わった広い空と風が抜ける感覚や四季のうつろいが 今のクリエイティブな仕事に映し出されていると思います。」

  • 伊原正浩(いはら まさひろ)さん
  • お住まい:東京在住
  • 居住歴:河須ヶ谷出身 
  • お仕事:カメラマン

*睦沢町出身のカメラマン伊原正浩さん。ポートレイト撮影から食や風景、建物の写真まで、様々な分野で活躍されています。陰影のあるその作品は、どこかノスタルジックな想いと優しさを感じさせてくれます。作品に映される原風景や子供の頃のこと、町への想いについて伺いました。

Q:子供時代はどのように過ごされていたのでしょうか?

A:インドアよりアウトドアで遊ぶほうが多かったですね。木に登ったり、近くの堰でつりをしたり、用水路でザリガニもよく捕まえて遊びました。子供が遊べる空き地も沢山あったので、学校から帰ったらランドセルを放り投げて近所の友だちと遊んでいました。今見たら笑ってしまうような秘密基地も作りましたね。夏にはクワガタやカブトムシを捕まえたり、夜になると周辺が明るくなるぐらいにホタルが飛んで、それが当たり前の風景でした。それは今も大きくは変わっていない気がします。身近に自然があることは、これから子育てをする方にも大切な条件ではないでしょうか。勿論、ジャンプ、ファミコン世代なので、家の中でも友人たちとのコミュニケーションはありました。ただ、子供心に外に出て遊びたいと思える自由と魅力が睦沢にはあったので、一方に偏ることなく、暗くなるまで外にいたことを覚えています。

睦沢中学校では「ランチルーム」があって、給食は教室ではなく、全校生徒が集まって一緒に食事をしていました。クラスメイト以外の、学年の違う人たちとも毎日一緒にその時間を楽しんでいました。他の学校とは違うということは、高校になってから知りましたけど、とても良い仕組みだったと思います。

Q:今のお仕事に睦沢でのことが少なからず影響していますか?

A:大きく影響していると思います。自分が撮りたいと思う風景は、睦沢の風景とリンクすることが多い気がします。 特に子供・・・と言っても中学生ぐらいまでの多感な時期の影響は大きいと思います。あの頃はこうだったな、とか、こんなふうだったらよかったな、とか、そういう想いみたいなものが写真に表れることがあります。プライベートな撮影で言えば、都会の風景をあまり撮りたいと思わなかったり、自然を切り離して撮りたいと思えないところは、睦沢の影響でしょうね。と言って、誰もがそうなるというわけでもないので、自分自身がもともと自然好きなのかもしれません。今暮らしている場所も東京にしては自然が多いと思います。離れてみないと分からない贅沢ってありますね。

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Q:睦沢町の良さを感じたのはいつ頃ですか?

A:東京で1人暮らしを始めてから、気分転換に睦沢へ月一くらいで帰省するようになってからですね。電車に乗って、大網駅あたりにさしかかると「帰ってきたなぁ」と思います。都会から来る方なら共感してもらえると思うんですけれど、停車してドアが開くと、一気に季節の薫りがするんです。東京から特急だと1時間ほどですが、窓からの風景を見ると懐かしさを感じます。
神奈川や岐阜にも住んだことがあるのですが、起伏があったり、高い山があったり、同じ里山でも睦沢は平野なので、空もパッと開けている感じで息苦しさがないんです。そんなに高い建物もないですから、ちょっとした高台に上ると地平線がとても広い。住んでる頃にはわからなかったのですが、他の町を知って初めて気がついたことでした。

Q:先日里山カフェsouで行われた「写真のワークショップ」に参加しました。解説がわかりやすく、とても楽しませていただきました。今後の予定はありますか?

A:先日は初回でしたからお店の周辺だけでしたが、次はもう少し広い場所に出て、様々な被写体を撮影出来たらいいですね。実際に生活している人を入れて撮れると、より魅力的な写真になると思います。今後も職業柄、活動の中心は都内になりますが、今までも個人的な作品を撮る時に、メンバーを睦沢に呼んで撮影しています。みんな気に入ってくれて、プライベートでまた来たいと言ってくれます。今後も定期的に帰省するつもりですし、ワークショップだけでなく、自分の仕事を通して睦沢町と何らかの形で関わっていけたら嬉しいですね。

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伊原正浩(いはらまさひろ)さんプロフィール
20代よりアート作品を関東・関西にて発表。個展・グループ展多数。グラフィックデザイン、家具制作、店舗内装を経て、都内写真スタジオにてスタジオマン、アシスタント。2011年カメラマンとして独立。CD・DVDジャケット、ウェブ、雑誌等、媒体の垣根なく活動中。パーソナルワークとして北海道根室半島の風景を撮影した「フットパス」等がある。

WEB : http://masahiroihara.com
facebook : Masahiro Ihara

インタビューを終えて

油絵や家具のデザインなどいろいろな経験を経て、カメラマンとして独立された伊原正浩さん。現在のお仕事にも睦沢の里山の原風景が色濃く影響されていると、終始言葉を選んで丁寧に語ってくれました。気さくで暖かい人柄の、伊原正浩さんに会いにむつざわをたずねてみてはいかがですか。

取材・写真(表記以外):hiromi IIDUKA